キーワード:マウンテンバイク 折り畳み コメントの種類 :その他
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通信販売のコマーシャルで盛んに宣伝されている、
片山右京プロデュースの折り畳みマウンテンバイク。
長嶋監督が宮崎で乗っていたとかいう尾ひれがついていますが、
実際のところ性能はどの程度なのか?
11月19日徳山市の某スポーツ用品店で現物を見て、
サイクリストとして構成部品を詳しくチェックしました。
以下はその評価です。
【駆動系統】
一言で評価すると「スカポンタン」ですな。
付属のサムシフターは10年前のもので、
現在主流のラピッドファイアーやグリップシフトにくらべ、
確実な操作を期待できません。
前3段のギアは歯数が多すぎて回すと重そうだし(クランク重量は重い)、
それに後6段なんてマウンテンバイクの世界では2級線以下ですぞ。
<現在は最低7段、標準8段、高級品は軒並み9段>
前3段の変速を司るディレイラー(変速機)にしても、
ワイヤーの取り回しは現在主流のトップルート式ではなくダウンルート式。
今後のアップグレードは難しいでしょう。
【ブレーキ】
素人どころか私でも確実な操作を期待しがたいですな。
簡易式とはいえ改良カンチブレーキ、
いわゆる「シンプルVブレーキ」なので制動能力そのものは過激。
ところが付属のブレーキレバーは操作の加減が困難なタイプ。
過剰な動作を防止するパワーモジュレーターも付いていないし、
素人が指4本で握ってしまいがちな幅広レバーなので、
指2本で充分だと言うことを知らぬまま素人が指4本で操作したら…。
【タイヤ】
タイヤ本体はさておくとして、
バルブが安物の英式(普通の自転車と同じもの)。
前後サス付きである分タイヤの空気圧を上げたいところなのに、
これじゃ空気漏れが怖くて圧を上げるのは無理ですわ。
本格的なマウンテンバイクのタイヤバルブは現在、
空気圧調整が簡単な仏式(プラスタ)、
自動車・バイクと共通の米式(シュレッダー)がほとんどです。
どちらも空気漏れしにくい頑丈な構造で、
普通の自転車も仏式や米式へ移行するであろう情勢なのに、
なんで粗悪な英式バルブを選ぶかな?
唯一の救いはタイヤ・チューブを交換できる構造だということ。
【フレーム】
前後サス付きなので通常のダイヤモンドフレームではなく、
特殊な形状を採用する必要があったのは分かる。
でも溶接部分があまりに平坦で綺麗すぎる。
通常は強度確保のため接合部分をまんべんなく溶接したうえで、
溶接部分の強度確保のためなるべく形を整えないものです。
サスペンションフォークも主流品に比べ径が小さいため、
アップグレードはこれまた困難です。
【総合評価】
安全面での不安が目立つのに加えて、
駆動系統の質も決してよくありません。
日本マウンテンバイク協会(JMBS)規格の正式な「マウンテンバイク」でなく、
スポーツ車のうちのマウンテンバイク「類似車」に正式分類されることが、
その事実を表しています。
<取り扱い注意のシールにも「市街地限定」と明記>
あくまで折り畳み可能で比較的乗りやすい「街乗り自転車」であり、
登坂性能やオフロード走破能力を期待してはいけません。
にもかかわらずCMでは「マウンテンバイク」と宣伝していますから、
品質等の不当表示に抵触している恐れさえあります。
したがって私としてはこの自転車はお薦めできません。
【追伸】
しかしなぜ片山右京サンがこんな粗悪品に名前を貸したかな?
これで右京サンへの評価が落ちちゃうことは確実。
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